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エッセイ

Vol.42

死後に「気持ちを伝える」遺言書-終活牧師が行く#15

今回も「認定NPOまな市民後見セーフティーネット」代表の毛利陽子さんをお招きして、「遺言書」を絶対に書いた方がいい人、安価に用意する方法についてお話しを伺っていきます。


榊:皆さんこんにちは。終活牧師の榊哲夫です。前回は「死後事務委任契約」についてお話ししました。自分の死後、しなくてはいけない様々なことをがあります。頼る人がいない場合、この契約を結んでおくと安心して生涯を歩むことが出来ます。今回は遺言についてお話ししていきたいと思います。

今回も毛利陽子さんをお招きしております。どうぞよろしくお願いいたします。

毛利さん:どうぞよろしくお願いいたします。

榊:昔、私の親戚で子どもがいない夫婦がいたのですが、ご主人が亡くなり遺産を分ける際、子どもがいないのでご主人の「親と分ける」のですが、ご両親はすでに他界。次は「兄弟と分ける」のですが、兄弟姉妹も全て他界している。そうするとその兄弟の子どもたち「甥・姪と分ける」ことになりました。

しかし、疎遠であり探すのも大変で、多大な手間と時間とお金を費やしました。住み慣れた家は奥さんのものになったが、結構な額を甥や姪たちと遺産分割する結果になったんですね。

ご主人が一言、「財産は全て妻に譲る」と遺言に残しておいたら、このようなことにはならなかった。悔やまれますよね。

毛利さん:そうですね。

榊:とうことで、今日は遺言に関して、お話をお願いいたします。

毛利さん:遺言書のお話しということで私は専門家ではないのですが、いろんな方からご相談をいただく中で学んだことを、知っていることをご紹介します。詳細はぜひ専門家にご相談ください。

遺言書をぜひ作っておいて欲しい人がいらっしゃいます。

・夫婦の間に子がいない場合
・相続人同士が疎遠な場合
・相続人以外のものに財産を承継させたい場合・・・自分の面倒をよく見てくれたお嫁さんなど。
・相続人が全くいない場合・・・財産は国庫に没収になる。自分の指定した人・団体に遺贈することが出来る。
・相続人の間に感情的な対立がある場合

榊:仲が良い兄弟でも家庭を持つと上手く行かない時もありますし、莫大な遺産でなくても揉めるときはありますよね。

毛利さん:はい。よく聞きますね。実際に遺言で指定できるものは決まっています。

・身分上の遺言事項・・・子どもの認知など、身分を認知すること。
・相続に関する遺言事項・・・「何」を「誰」に相続するのか。
・遺産の処分に関する遺言事項・・・自分の意思で遺贈・寄付を決められる。
・遺言の執行に関する事項

遺言ではこれ以外のことは指定できません。遺言書に書けること、書けないことがあります。

榊:財産を分けるということで、金額にならないものは書けないのではないでしょうか?

毛利さん:そうですね。

1_遺言書に書くこと

・書けること→⚪︎
・書けるが分からないもの→△(第三者から見て価値があれば書ける)
・書けないもの→無印(エンディングノートなどに記載)

先ほど遺言書には2種類あるとお話ししました。「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。
どのような特徴があるのかご紹介したいと思います。

2_自筆証書遺言

「自筆証書遺言」のメリットは簡単で安い。デメリットとしては、見つけられにくい事があります。また本人が書いたのか家庭裁判所で「検認手続」をする必要がありましたが、最寄りの法務局で預かってもらう制度を使用すれば手続き不要になります。この制度を「自筆証書遺言の法務局保管制度」と言います。

3_自筆証書遺言の法務局保管制度遺言書を封をしない状態で最寄りの法務局へ持って行き、画像データにして保管してもらいます。メリットは費用が安いこと、デメリットは内容までは精査されないことです。自筆で遺言書を書かれる方はぜひ、この保管制度を利用していただきたいと思います。

これに対し昔からあるのが「公正証書遺言」です。

4_公正証書遺言

無効になるリスクはほぼありませんが、専門家にお願いするということで費用や手間がかかます。

榊:証人もいるんですよね?

毛利さん:そうなんです。証人2名ですけど、遺言の内容に関係のない人であれば誰でも証人になることが出来ます。

お子さんがいらっしゃらない方、お子さん同士が揉めてる方は「公正証書遺言」にすることをお勧めします。公正証書にしておくと誰も文句が言えませんので、遺贈などの際にもお勧めしています。

また、遺言書には「付言」というものがあります。遺言書の内容について自分の思いを伝えることが出来ます。「誰」に「何」をあげたいのか、その理由までわかると貰う方も納得がしやすく、本人の思いも伝わりやすいので是非「付言」を上手に活用していただきたいです。

その他、遺言に付随して「遺留分制度」や「相続税」などもありますが、こちらはホームページ等で調べていただいたり、またご相談いただければと思います。

榊:毛利さんどうもありがとうございました。お子さんのいらっしゃらないご夫婦、特にご主人はぜひ遺言書を書いてみてください。

 

【相談できる団体】
一般財団法人有料老人ホームセンター(今回の資料の著作元)

認定NPOまな市民後見セーフティーネット
https://manasafetynet.wixsite.com/
電話:03-3475-5838
npomananet@gmail.com

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