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エッセイ

Vol.11

葬儀は要らないと言う人

海洋散骨葬の働きをしている私のもとに、次のような電話がかかってくる。「自分は葬儀を望まないので、散骨をしてほしい。」このような依頼は思いのほか多い。
まず理解して頂きたいのは、散骨は葬儀の代わりに行うものでなく、墓地に埋葬する代わりに行うものである。葬儀をするか、しないかは全く別の問題である。

葬儀を行わなくても、人が亡くなると医者から死亡診断書を書いてもらい、死亡届と火葬許可申請を役所に出し、許可を得て火葬にしなければならない。これだけのことであるが、慣れない人がすると大変である。書類手続きや火葬の手配だけではなく、まず遺体を搬送しなければならない。すぐには火葬出来ないので、安置場所が必要になり、ドライアイスも要る。棺も手配しなければならないので、結局は葬儀業者に依頼することになる。前夜式(お通夜)や葬式(告別式)を全く行わなくても、地域にもよるが15〜25万円はかかることになる。

葬儀をしたくない、またはする必要の無いと考えておられる大半の方々の理由は、高額な葬儀費用と多くの手間を残された家族にかけたくないという思いである。
確かに高いお金をかけて葬儀する必要はないと思う。以前に比べて安くなったと言われる日本の葬儀であるが、それでもなお平均約200万円と高額である。
しかし事前にいくつかの葬儀会社から相見積もりを取り、豪華なものを避け、余分なものを省いた場合、100万円以下で十分収まる。小人数の葬儀であれば総額50万円以下でも、心のこもった葬儀を行う事が出来る。
大勢の人を招くのでなければ、前夜式を省き、葬式だけ行うことが出来る。また、お花料(香典)を頂かなければ、返礼品も不要である。斎場で葬儀を行えば、別の葬儀会場からの移動の手間も省け、霊柩車、マイクロバスの費用もかからない。会食も火葬の間に、親族、親しい方々だけで行うことも出来る。

葬儀は、それ程高い費用や手間をかけずに行うことが出来るとまず理解して頂いて、私は、ご遺族が何人かおられる限り、葬儀をした方が良いと勧めている。葬儀は、万物万事をご支配されておられる大いなる主を礼拝し、その愛なるお方に信頼し委ね、遺族や友人は慰めと希望が与えられる場である。またその厳粛な場において、未信者の参列者に対する証しの時となり、神様を伝える最高の機会となる。
「祝宴の家に行くよりは、喪中の家に行くほうがよい。そこには、すべての人の終わりがあり、生きている者がそれを心に留めるようになるからだ。」伝道者の書7章2節

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