Vol.38
教会に納骨堂をつくりたい?-終活牧師が行く#10
今回は「教会に納骨室を作りたいが、問題ありますか」というご質問を時々頂きますので、そのお話をいたします。
都道府県知事の許可、周辺の住民の方のご理解、金銭面など、いろいろ難しさがありますので、一つずつ解説してまいります。
こんにちは、終活牧師の榊哲夫です。
今回は教会に納骨室を作りたいが、問題ありますか、という質問を時々頂きますので、その話をいたします。
結論は、都道府県知事の許可が必要ですよ、と言うことです。
少子高齢化、核家族化によって、葬儀は、だんだんコンパクトになってきて、料金も昔に比べると半額ぐらいになってきました。しかし、お墓の料金は相変わらず高いです。
1平方メートルも無いような小さなお墓が、100万円、都会では200万円近くする所もあります。
教会でお墓を建てようとしたら、少なくとも4,50人ぐらい収容できる規模を考えます。そうすると数百万円、関東でしたら骨壺サイズも大きいですから、1千万円を超えてしまいます。
それなら、教会堂の空いている部屋を、納骨室にしようとか、空いているスペースに納骨棚を置こうではないかと言う案が出て来るのは当然ですね。
しかし、そうするには許可が必要になります。
「墓地、埋葬等(とう)に関する法律」というのがあります。略して墓埋法(ぼまいほう)とも言いますが、基本は、許可された火葬場で火葬して、許可された墓地に埋葬や納骨をして下さいと言うことです。
例えば、父親が亡くなって、お父さんこの山が好きだったから、この山頂でたきぎを集めて焼こうとか、この森は美しいからここに埋めましょうという訳にはいけません。事件として取り扱われ、刑法の「死体損壊(そんかい)罪」や、「遺棄(いき)罪」に問われてしまう恐れもあります。
教会も許可なく納骨室を造って、骨を置いておくとします。
しかし教会がもし火事になって焼け跡から骨がいくつも出てきた、となったら事件性を疑われますよ。
遺骨を埋蔵する納骨室を作るのであれば、都道府県知事の許可を受ける必要があります。許可申請の内容はその都道府県で多少異なるでしょうけど、だいたい半径100mの周辺住民の同意は得ることが必要になります。結構大変ですよね。
遺骨を家に置いておくのはどうなのでしょうか?
しばらく仮に置いておくというのは問題ありません。
何ヶ月間か夫の遺骨をそばに置いておきたい。また、自分が死んだ時に一緒に墓に埋葬してほしいと頼む人方々もおられます。
でも最終的にはお墓に埋葬するということを決めておく必要はあります。取り壊された家から骨が出てきたとなったら、警察が来ることになるでしょう。
教会でも「仮置き場」として何年か遺骨を預かっておくことは可能でしょう。しかし、最終的に認可された墓地に埋葬する必要があります。
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さて、墓埋法があって遺骨は墓に埋葬しなければならないなら、海洋散骨葬はどうなの?
という疑問が湧いてくるかと思いますが、その件に関しては次回お話ししたいと思います。