Vol.41
頼れる身寄りのない方へ「死後事務委任契約」-終活牧師が行く#14
今回も「認定NPOまな市民後見セーフティーネット」代表の毛利陽子さんをお招きして、お一人様老後にも心強い「死後事務委任契約」についてお話しを伺っていきます。
榊:皆さんこんにちは。終活牧師の榊哲夫です。今回も「認定NPOまな市民後見セーフティーネット」代表の毛利陽子さんをお招きしてます。どうぞよろしくお願いいたします。
毛利さん:よろしくお願いいたします。
榊:私は共同墓地の運営をしているのですが、何回かこんなお電話をいただきました。「共同墓地の予約をしたいが、身寄りがいない。どうしたらいいんでしょう?」また、ある方は「子供はいるけれど海外に住んでいて頼ることができない。」また、「兄弟はいるが、年老いて、疎遠で、頼ることができない。」というお電話です。
確かにご本人にお墓の申し込みをいただいても、亡くなった時に私に通知が来るのでしょうか?また、通知が来ても私が勝手に葬儀・火葬はできないので困るなぁ、と感じています。この件について、アドバイスをお願いいたします。
毛利さん:こちらこそ、よろしくお願いいたします。私もまさにこうった悩みを将来抱えるだろうと思っていました。夫が年上で子供がいなくて、親戚は地方で。私が亡くなった後、歩いてお墓に行けないしどうしようかと思い、色々調べたところ「死後事務委任契約」というのがあるのを知って、今日はそれについてご紹介したいと思います。
【以下:毛利さん】
「死後事務委任契約」とは亡くなった後の諸々の手続きを代行するという契約です。本人の判断能力があるうちに結ぶべき契約でもあります。
また、亡くなった後には、こんなことをしないといけません。
①家族・友人への連絡
②葬儀・埋葬の手続き・・・火葬・埋葬をするにも手続きが必要。
③役所・関係機関への届出・・・死亡届が必要。
④生前の医療費・施設利用費などの精算
⑤遺品整理、住まいの処分・・・施設に残された遺品も処分しなければならない。
⑥各種サービスの解約・・・水道光熱費・銀行口座・インターネット関連等の解約。
大きく分けても以上6つほどあるのですが、時間も手間もかかります。また、誤解されている方が多いのですが、これらの手続きを遺言書で依頼できると思っている方が多いです。しかし、これらの手続きは遺言書では依頼できません。
これらの手続きを依頼するのに書いておくのが「エンディングノート」ですが、「死後事務委任契約書」に書いておけば内容に沿ってやってくれます。
亡くなった際に必要な契約が主に3つあります。
「遺言書」・・・事務手続きの依頼や葬儀の有無や内容などは記載しない。資産価値が認められないと遺言書の財産項目にはならない。
「任意後見契約」・・・認知症になったら契約は結べない。入居施設の選定や財産の管理等本人に代わって行う。本人が生きている間の契約。
「死後事務委任契約」・・・死後に行う手続きを依頼内容に従って行う。
先程の、身寄りがない、または頼れる親族が近くにいない方は、「遺言書」と「死後事務委任契約」を結んでおく必要があります。
この2つは別物なので、「死後事務委任契約」を結んだ方が財産をもらうことはありません。あくまで、法定相続人が優先です。「死後事務委任契約」を結ぶ際には、財産ではなく費用をいただくことになっています。金額は、内容や相手によってお互い納得して決めることができます。
私達は、「死後事務委任契約書」は公正証書で作成しています。死後、相続や葬儀について揉めたくないので、きちんと公正証書にしてそれぞれが保管しています。このように、お手伝いをさせていただいております。
榊:最近は一人暮らしのご老人が増えていますので、この情報は貴重ですね。
毛利さん:最近はお子さんがいても、忙しい子供に迷惑をかけたくないので部分的にこちらに依頼する方、手続きはこちらで行う方などが増えています。
榊:「死後事務委任契約」を結べばお金はかかりますが、そのお金で自分の不安が全て解消されて残りの人生を充実したものにしていただけたらいいですよね。
毛利さん:そうですね。是非こういう準備をされておくといいですし、悩みがあればご相談いただけましたら具体的にお話できますので、ご連絡いただければと思います。
榊:毛利さん、どうもありがとうございました。
毛利さん:こちらこそ、ありがとうございました。
【相談できる団体】
一般財団法人有料老人ホームセンター(今回の資料の著作元)
認定NPOまな市民後見セーフティーネット
https://manasafetynet.wixsite.com/
電話:03-3475-5838
npomananet@gmail.com