Vol.27
終活
大阪で終活について講演させて頂くことになった。終活という言葉は、2009年に週刊朝日が作った比較的新しい言葉である。3年ぐらい前までは、終活という言葉を聞いたことのある人は20%ぐらいしかいなかったのが、今では90%以上の人が知っているほど急速に広まった。 終活がこのように日本の社会で受け入れられ広まった一因は、超高齢社会という背景にあろう。日本の65歳以上の高齢者の比率が2016年2月時点...[続きを読む]
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Vol.27
大阪で終活について講演させて頂くことになった。終活という言葉は、2009年に週刊朝日が作った比較的新しい言葉である。3年ぐらい前までは、終活という言葉を聞いたことのある人は20%ぐらいしかいなかったのが、今では90%以上の人が知っているほど急速に広まった。 終活がこのように日本の社会で受け入れられ広まった一因は、超高齢社会という背景にあろう。日本の65歳以上の高齢者の比率が2016年2月時点...[続きを読む]
Vol.26
知らぬ間に固定概念というものはできてしまうものであるが、そこから出て新しく気付かされたことが二つあったのでお分かちしたい。一つ目は、人が最期を迎える場所についてである。私は現在の日本において、最期は病院で迎えるものであると思っていた。それゆえ人が末期状態になったら、入院をさせないといけないと考えていた。 しかし、最近の日本における在宅介護支援の体制は良い。末期がんで自宅療養をしていた父に、看...[続きを読む]
Vol.25
当クリスチャン共同墓地「園の墓」の加入を希望されて、申込用紙を入手される方々は大勢おられるが、申し込みまでたどり着く人は多くない。どうも家族や親族の賛同がなかなか得られないようである。この働きをしていてつくづく思うのは、日本においてお墓に対する昔ながらの固執、特にお墓を継ぐという意識がいまだに根強く残っていることである。仕事が定年になったら田舎に帰るという方々がおられるが、大きな目的の一つはお墓を...[続きを読む]
Vol.24
何十年も会っていない母方の遠い親戚の婦人から手紙が届いた。私が牧師をしているのをうわさで聞いて、墓前で召天者記念礼拝をしてほしいとの依頼であった。私の親戚にはクリスチャンは誰もいないと思っていたのでその手紙には驚いたが、とても嬉しかった。その婦人はカトリック信者であり、亡き母も信者であったという。私は親戚一同に福音を伝える絶好のチャンスと考え、その司式を喜んで引き受けた。 当日私はバイオリニスト...[続きを読む]
Vol.23
知り合いのクリスチャン女性の母親が亡くなり、葬儀の依頼を受けた。亡くなられた母親もその配偶者も中国残留孤児の方で日本に帰国された人であった。そして葬儀に参列される親族、友人のほとんどの人は中国語で生活をされている方々で、日本語の理解が難しいようであった。そこで、そのクリスチャン女性に中国語への通訳を頼むことにし、賛美の曲も葬儀社に中国語バージョンをユーチューブで探してもらい、CDにしてもらった。 ...[続きを読む]
Vol.22
夕方遅く事務所の電話が鳴った。男性が気落ちした声で「先ほど母が亡くなりました。何をお願いしたらいいのかわからないのですが・・。」と大変困った様子であった。いろいろ話してわかったことは、①その男性はクリスチャンであり、教会に通っている。しかし、まだ教会の正会員ではないこと。②その教会は無牧の教会で、交代で他の教会の牧師先生がメッセージに来られていること。③亡くなった彼の母は、1週間ほど前に神様を信じ...[続きを読む]
Vol.21
朝から降っていた雨があがり、アメリカ人の牧師先生の穏やかな声で「園の墓」において納骨式が始まった。祈りが捧げられ、賛美歌が歌われ、神の愛、キリストの十字架が語られた。故人の奥様は未信者であって初めは大変緊張されていたが、納骨式が終わる頃にはとても安心された表情に変わり、にこやかに「私もここに入りたいわ。」と私に話かけてくださった。教会員である彼女の娘さんにとっては嬉しかったことであろう。 教会と...[続きを読む]
Vol.20
また激しい雨が降り出した。轟音と共に前も見えなくなるほどの土砂降りである。また彼らの住むパヤタスのあの一帯は洪水であろうと思うと胸が痛む。私は夏休みを利用して、雨季のフィリピンケソン市にNPO法人グローカルギフトネット (GGN)理事のI兄と訪問していた。 パヤタスはケソン市北部にあり、マニラ中心から車で1時間半ぐらい離れた巨大なゴミ捨て場である。毎日500台以上のトラックがやってきて都会のゴミ...[続きを読む]
Vol.19
園の墓が完成して間もない頃の話になるが、「私が死んだら園の墓に入れてください。」とかなり年配の婦人から電話を頂いた。私は「それでは、ご家族の方と相談してから申込書に記入して送ってください。」と返事をした。しかしその婦人には親族がいないという。親や配偶者や子どもがいないだけではなく、兄弟姉妹もいないという。また親戚付き合いも全くなく、教会にも所属しておらず、友達もいないという。私は言葉が見つからなか...[続きを読む]
Vol.18
私の父は半年ぐらい前からよく咳き込み、普段の呼吸も苦しそうであった。病院での診断は気管支喘息であり、その薬を飲み続けていた。しかし半年近く経ってもなかなか回復に向かわず、逆に悪化しているに見えた。私はインターネットで調べ、これは気管支喘息ではなく、COPD(タバコ病とも言われる慢性閉塞性肺疾患)であろうと判断した。父を説得し、他の病院に移り検査をし直してもらった。その結果、肺癌であることが分かった...[続きを読む]
Vol.17
以前、ご婦人から伺った話だ。会社を定年退職されたご主人が1年と経たず急死されてしまった。退職金をたくさん頂いていたはずなのに、どこの銀行口座にもほとんど残っていなかった。いくら探しても見つからなかったので、そのご婦人は諦めかけていた。しかし後に、ご主人はほとんどの退職金を、インターネットを使って株の投資をしていたということがわかった。 生前準備の大きな目的の一つは、私たちが急に天に召されても...[続きを読む]
Vol.16
前回の生前準備(1)で、葬儀はキリスト教式で執り行うように希望を伝えておくことと、葬儀会社を決めておくことの2つを述べた。今回は遺言書について、そして延命処置に関して述べさせて頂く。 まず遺言書であるが、子どものおられない夫婦で、夫が財産を全て妻に譲りたいと考えておられる方は必須であろう。遺言書がないと、その財産は夫の兄弟姉妹たちにも渡り、その彼らがすでに亡くなっている場合は、甥や姪にも分配...[続きを読む]
Vol.15
時々「私が死んだら葬儀をお願いしますね。」と気軽に頼まれることがあり、私も気楽に「いいですよ。」と返答する。その人の人生最後のイベントである葬儀に私を頼ってくださることはとても嬉しいことである。しかし本気で考えておられるなら、生きている間に少し準備が必要になる。いわゆる生前準備である。生前準備とは自分が先立った時、残された親族が困らないようにするため、また自分の望んでいることが行われるように書面な...[続きを読む]
Vol.14
私の妻は、田舎の本家の一人娘であった。私が大学を出た年の秋に結婚した。結婚して2年も経たず、彼女の父親が8月に亡くなり、葬式と初盆がいっぺんにやってきた。東京育ちの私は、そこで色々な風習があることに驚かされた。当時の私は宗教に無知で、クリスチャンでもなかったので、親戚のアドバイスを伺いながら行動することになった。 まずびっくりしたことは、戒名の金額の高さである。親戚の勧める一番高位とされる院号は...[続きを読む]
Vol.13
前編の住職の方に怒鳴られたという婦人は、何年もお墓を放っておいたようである。そこに改葬の話が出て、寺の住職の方は腹を立てたのであろう。日本では、お墓を守るということをとても大切にする風習が強い。私の知人は、都会の本社への栄転の話を断り、彼の先祖のお墓を守るために田舎に住み続けている。また、お墓を守るという目的で養子縁組をされた女性を知っている。法事(法要と会食)のために今まで数百万円を使ったという...[続きを読む]